窓は大事
家づくりでは、窓はかなり重要です。
美しい景色を切り取ったり、家のフォルムのバランスや質感を決定づけたりと、窓は家の重要な部分を担っています。
僕が9年間勤めたシンケンでは、年間70〜80棟建てる全ての家で、お風呂などの特殊な場所以外は、全て木製サッシが使われていました。
結構なお値段がする幅2m以上あるような木製の大開口サッシがバンバン使われていて、今考えると本当に贅沢な環境だったな〜と思います。
そんなわけで、独立後、色んな工務店さんの家を見学させていただく時も、いつも自分の家づくりにはどんな窓がいいかな?というのが頭の片隅にあり、自然と「いい窓」を探していました。
サッシの種類と特徴
窓は、大きく分けると4種類。
「アルミサッシ」「樹脂サッシ」「アルミ樹脂複合サッシ」「木製サッシ」があります。
ネットには、それぞれの窓のスペック的なことはたくさん出ていますが、僕個人の独自な見解も入れながら、それぞれの特徴を書いてみたいと思います。
アルミサッシ
【長所】
- 古いアルミサッシは質感が味わい深いものもあったりします。
【短所】
- 夏暑い!冬寒い!
- 光熱費がかかる。
家を新築する場合、特別な理由がない限り、アルミサッシを選ぶ必要はないかなと思います。
アルミ部分の熱伝導率は樹脂の1000倍もあるそうで、外の暑さ・寒さをダイレクトに家の中に伝えてしまうので、初期投資が安く済んだとしても長い目で家の中の温熱環境や光熱費を考えると、今の時代にあえて選ぶ必然性がないです。
(実家も、東京時代に住んだアパートやマンションも、今借りてる家も、全てアルミサッシだったので、もう充分に体感できたかも。マンションだと意外と問題ないですよね)
樹脂サッシ
【長所】
- 断熱性が高いので快適に暮らせる。光熱費も抑えられる。
- 最近は樹脂サッシが一般化し、価格もこなれてきている。
【短所】
- アルミに比べると耐候性に難あり(光や雨風による劣化がある)と言われている。でも、大手メーカーが何度もテストして大丈夫という結果が出ているようなので、気にする必要はなさそう。
- 枠が太く、見た目がイマイチ?
価格・スペックのバランスが優れているので、少しこだわった工務店さんだと、かなりの割合で樹脂サッシを採用しています。
でも! 個人的に枠が太くてボテっとした見た目が「もう少し枠が細かったらいいんだけどな〜」と思ってしまいます。
樹脂は金属や木材に比べると強度が低いのでその分太くしないといけないとのこと。
海外のものだと国産よりも外観が良さそうなものもありますが、価格がかなり高くなりそうです。
調べたら国産サッシでもLIXILの「エルスターX」は世界トップクラスの断熱性能のうえに、枠も細めでいい感じです!
でもこれも高そうですね。
樹脂アルミ複合サッシ
【長所】
- 断熱性が高いので快適に暮らせる。光熱費も抑えられる。
- 最近は、価格もこなれてきている。
- (樹脂サッシと比べて)枠が細くデザイン性が高い。
- 耐候性が求められる外部だけにアルミを使用することで、アルミの「耐候性」と樹脂の「断熱性」という双方の長所を両立させている。
【短所】
- 樹脂サッシと比べると断熱性能が少し劣る(最高グレードのモデル同士を比較した場合の話なので個人的には気になりません)
- 【※2021年1月3日追記】 木製サッシ、樹脂サッシと比べて結露しやすいかも。詳しくは窓の話④で
「もし国産サッシを使うとしたらこれだな」とずっと思っていました。
樹脂と比べると枠が細くスッキリとしていて、個人的には樹脂サッシより全然好きです。
断熱性能は樹脂サッシより少し劣りますが、サッシ業界的に、「樹脂サッシといえば、YKKap、アルミ樹脂複合サッシならLIXIL」という状態になっているようで、LIXILは樹脂アルミにかなり力を入れており、「SAMOS X」は個人的にはこれで充分!という断熱性能です。
それに比べるとYKKapの樹脂アルミの「エピソード」シリーズは断熱性能は一段劣り、あくまでも「アルミサッシと樹脂サッシの間」という位置付けのようです。
なお、実は「気密性」の面では樹脂サッシより樹脂アルミサッシに分がある!?という興味深い内容のブログを見つけました。興味がある方はぜひ。
木製サッシ
【長所】
- 断熱性が高いので快適に暮らせる。光熱費も抑えられる。
- 木のぬくもり、温かみがある。金物部に海外のパーツが使われていることも手伝って、見た目が圧倒的にカッコいい。
【短所】
- 値段が高い。
- 自然素材ゆえの、メンテナンスの問題。
木製サッシは圧倒的な存在感、かっこ良さがありますが、お値段もかなり張ります。
樹脂サッシ等との価格差はかなりのものなので、好きな人にとっても迷うところだと思います。
また、長い目で見た時の、メンテナンスの問題も見逃せません。
日本は海外に比べ湿度が高く、木製サッシにはかなり過酷な環境のため、長期的に見ると不具合が出る可能性が0ではないことは、覚悟しておく必要があります。
結局どの窓がいいの?
上に書き連ねたことは個人的な見解ですが、なかなか「これだ!」と言い切れない気持ち、伝わるでしょうか?
結局のところ、木製サッシも含めて悩んでいたわが家の窓選びでは、「見た目」「価格」「メンテナンス」の3大要素のバランスがうまく取れて、いちばん納得できる最適なポイントがどこなのか?・・・それを探るのに本当に苦労しました。
(「性能」についてはどの窓にしてもある程度は担保できると思っていたので、あまり考えませんでした)
そんなわけで、自分の中でそれなりに納得できるまでは、かなり時間をかけて色々調べました。
大変でしたが、とっても楽しくて、かなり勉強になりました。
そうして導き出した自分なりの答えは、次回!