家づくりの際、夫婦間で価値観が合わずケンカになる話はよく聞きます。
中にはそれが原因で離婚してしまう夫婦もいるそうです。
わが家でも紛争が起こったポイントはいくつかあるのですが、一番もめたのがトイレでした。
僕はもともと、「トイレは一番安いやつでいい」と思っていたのですが、
シンケンにいた時、「居心地のよさや自然の心地よさというのは、普遍的でいつまでも変わらないもの。それに比べると最先端の機械や建材みたいなものはすぐに古くなってしまう。変わらないものを見極め、大切にしましょう」という趣旨のことをお客様に伝えていたこともあり、トイレみたいなものは、そんなにこだわるべきものではないと思ってました。
ところがある日、奥様が、「トイレはTOTOの壁掛けタイプのがいい」と言ってきました。
聞いた瞬間、まず「高そう!」と思ったんですが、ネットで実物をよく見ると「うわ〜っ、これは壁の部分が結構ダサいかも!!」ということに気づきます。(個人の意見です。TOTOさん、申し訳ございません)
個人的に、このカラーボックスみたいな質感の「メラミン化粧板」の壁(というか箱)は、わが家で使われる土間(モールテックス)、壁(モイス)、柱・梁・天井(杉)などの自然な素材とは合わないだろうと思いました。
それから、かなり長いこと紛争が続きました。
僕「これ(壁付き)以外だったら何でもいいから別のじゃダメ?」
奥様「お掃除がこれが一番ラクなの!」
何度か同じようなやり取りがありましたが、毎回、全くとりつく島がありません。
仕方ないので、この箱状の壁部分を何とかする方法を考えます。
YouTubeでみつけた施工説明のムービーを見て構造を把握し、2つの案を考えました。
案①メラミン化粧板の上から自分の納得のいく塗料で塗装する
案②箱の部分を大工さんに頼むか自分でDIYしてつくり、TOTOのものと入れ替える(その場合は保証の対象外になるとのこと汗)
けど、「どちらにしても面倒な作業になりそう。かなりお高いトイレなのに、なんだかな〜」という気持ちもどこかにあり、そのまま保留にしていました。
そしてトイレの話は、夫婦で話し出すと平行線を辿るだけで疲れるので、時間をおいてたまにになり、そのうちあまり話すこと自体がなくなり・・・・。
そんなある時、「BRUTUS 居住空間学2020」を眺めていて、ふと目に入ってきたトイレの写真に目が釘付けになります。
「こういう海外のやつにすればいいんだ!」
実は、以前、奥様に日本製のウォシュレットを乗っけて使うタイプの海外のトイレでお伺いを立てたことがあったのですが、このトイレはウォシュレット便座「TOTOアプリコット」を装着すると、「便座から壁までアプリコットの配管・配線が見えるのが嫌」とのことで却下となっていたのでした。
その時点では、僕的にも、「せっかく新築するのだからできればウォシュレットにしたい」「海外のトイレは故障しやすくてメンテナンスが大変そう」というのがあったので、いったん海外のトイレは無しになってました。
でも、こういう素敵に暮らしている実例を見ると、「ウォシュレットは我慢して、メンテナンスのことも何かあったらその時はその時ということにすれば、こういう海外のでいいや」と思ったのでした。
ということで、奥様に「BRUTUS 居住空間学2020」を見せて、「トイレこういう海外のでよくない?似たのがあるから」と再度聞いてみます。
ちなみに奥様がウォシュレットにはこだわっていないことは事前に確認済みです。
それで返ってきた返事は、「いいんじゃない?」とのこと。
やはりかっこいい家の一部に写っているトイレだと説得力が違います。
というわけで、「トイレは一番安いので」と思っていたのが、当初は考えてもいなかったようなシュッとしたトイレに決まったのでした。
(ちなみに、TOTOの壁掛けタイプよりは安く済む予定です!)
それにしても、ウォシュレットにこだわらないと、トイレってこんなにスッキリしたデザインになるんですね。